こんにちは、くっかばらです。このブログでは、自分の経験からおすすめの山などを紹介しています。今回は厳冬期の硫黄岳(八ヶ岳)です。強風と寒さでの撤退のレポートなので参考にならないかもしれませんが、よかったら読んで下さい😅

冬山で北八ヶ岳や谷川岳からステップアップしたいな。
と思っていて計画した山旅です。硫黄岳は南八ヶ岳の中では冬でも比較的登りやすい山だと言われます。私の雪山経験は初心者向けと呼ばれる山に限られているのですが、前年には厳冬期の天狗岳(八ヶ岳)に西尾根から登れたので、今年は硫黄岳に挑戦しようと考えました。夏沢鉱泉に宿を取り、夏沢峠から硫黄岳山頂を目指す計画です。しかし夏沢峠から登る硫黄岳は八ヶ岳特有の北西からの強風にさらされる時間が長く、天候があまりよくない日に登るにはとても耐えられませんでした。前年の天狗岳の時は数年に一度の大寒波が来ていてコンディションはもっと悪かったはずなのですが、この西側からの風をもろに受ける時間が短かったので登れたのだと思います。

2021年の年末に行きました。
硫黄岳ルート詳細① 桜平から夏沢峠
桜平から夏沢鉱泉〜車道(雪道)歩き
登山口である桜平へのバスは出ていないので、基本はマイカーでのアプローチになります。以前タクシー会社に問い合わせした時には、タクシーも4WDではないので桜平へは行けないと言われました。ただ、私たちは夏沢鉱泉に宿泊したので、茅野駅から送迎サービスが利用できました。同じグループの根石岳山荘の宿泊者も空いていれば利用できるそう。桜平には駐車場がいくつかあり、結構な車が入っていました。
桜平で送迎バスを降りて、夏沢鉱泉へは徒歩で向かいます。荷物は希望すれば夏沢鉱泉まで運んでもらえます。車道ですが雪がしっかり積もっていて完全に雪道。きつい登りではないのでつぼ足でも大丈夫でした。30分弱くらいで夏沢鉱泉に着きます。

夏沢鉱泉から夏沢峠〜風の影響がない樹林帯歩き
夏沢鉱泉からの登山道では少なくとも軽アイゼンが必要だと思います。樹林帯の中を歩くので風の影響をほとんど受けません。北八ヶ岳らしい、もふもふの雪が木々にどっさりと積もる光景。何回来ても純白の心洗われるような光景に感動します。登山道は最初は沢沿いで、沢の水は凍らずにとうとうと流れていました。硫黄岳の地熱の影響でしょうか。この時期の雪はまだ新雪でふわふわですが、年末で登山者も多くトレース部分は歩きやすく締まっていました。

1時間弱登ると、オーレン小屋に出ました。小屋は閉まっていますが冬期避難小屋を開放していました。トイレも使えるような張り紙がしてありました。オーレン小屋から硫黄岳へ向かうには、赤岩ノ頭経由で行くか、夏沢峠から行くかのどちらかですが、事前リサーチではオーレン小屋と赤岩ノ頭の間は雪が吹き溜まっているということだったので、夏沢峠から登ることにしていました。見た感じは夏沢峠から登っている人が多かったです。オーレン小屋から夏沢峠へ登っていく道はそこそこ急登ですが引き続き樹林帯で快適です。
硫黄岳ルート詳細② 夏沢峠から山頂
夏沢峠に上がるとすぐにヒュッテ夏沢が目に入ります。小屋は閉まっていますが、小屋前に風をしのげる場所があって数人休憩していました。ここからは10本爪以上のアイゼンが必要となりますし、この先で樹林帯を抜けると急激に強風にあおられ寒さも倍増に感じるので、クロージングの準備などするならヒュッテ前でするのがいいと思います。
この日は天候はあまり良くなかったのですが、この時少しだけ青空が見えました。勇気づけられて、いよいよ硫黄岳の山頂を目指します。

ヒュッテ夏沢から少しの間は樹林帯ですが、すぐに稜線になり、その途端ものすごい強風を感じました。この日の予報は高度3000mで風速25m、温度−15℃くらい。時々立っていられないくらいの風が吹き、体がぐらつきます。登山道は強風で雪が飛ばされてカチカチの状態で、時々岩が露出したりトレースが消えたりしていました。なんとか30分ほど耐えて稜線の中程まで進み、硫黄岳の山頂が射程範囲のところまで来ました。数人が山頂を目指しているのが見えましたが、撤退してくる人もいて、心が迷いました。強風と寒気はもう耐えがたく、とても山頂は目指せないと判断し、ここから撤退しました。

そうと決まれば夏沢峠に向けて急いで下山。樹林帯に入った時は安堵しました。体は表現できないほど寒くて、手の感覚はない状態。夏沢峠で暖かいお湯を飲んでもがたがた震えました。夏沢鉱泉にたどり着いた時はだいぶ体は温まっていましたが、すぐに温泉に入ったらヒートショックを起こしてしまいました。これは初めての経験で、どれだけ体が冷えていたかを実感してあらためてぞっとしました。
敗因を考えるに、①バラクラバをせずネックウォーマーで代用していた、②タイツは1枚しかはいていなかった、③カイロを持っていなかった、④体がぐらつくような強風の中を30分以上歩いた経験がなく恐怖心が強かった、というあたりかなと。精神面が一番大きかったですが、風・寒さ対策はしすぎるくらいでちょうど良いのだと思いました。次はもっときちんと準備してぜひ登頂したいです。
アクセスとデータ
アクセス | △ | 登山口の桜平まではバスなし(タクシーも断られることも) マイカーのみ、駐車場あり(上下にあって上から埋まる) 夏沢鉱泉・根石岳山荘の宿泊者は茅野駅から送迎してもらえる |
難易度 | × | 雪山初級者にとって厳冬期の難易度は高い 北西からの強風にあおられる稜線での行動時間が長い |
トイレ | ◯ | 夏沢鉱泉で借りられる オーレン小屋でもトイレ使用可の張り紙あり |
夏沢鉱泉の宿泊体験記はこちらをどうぞ

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