こんにちは、くっかばらです。このブログでは、自分の経験からおすすめの山などを紹介しています。今回は富士山です。
富士山、山小屋は混んでいるし出来れば日帰りで登りたい。やはり酸素が薄くてきついのかな?ルートは難しい?宝永火口にも行ってみたいけど・・・。
私自身、富士山の混雑振りを聞いて腰が引け、登山を始めて数年たってもまだ登れていませんでした。その反面、3700mは日本では群を抜く高さであり、自分がその高度に耐えうるかどうか知りたい気持ちもありました。
2021年、富士山登山が再開。国境が閉じているうちにと思い、ソロで登ってきました。せっかくなら宝永火口も見たいので、吉田ルートで登り、御殿場ルート経由富士宮口(いわゆるプリンスルート)で下山することにしました。
休憩含めて10時間、登り累積標高1900m、14kmを日帰りで歩くことができましたが、これは前泊したためです。朝にバスで着いて日帰りするにはどのルートをとってもかなり厳しいと個人的には思います。一番コースタイムが短い富士宮ルートの往復ならまだなんとかなるかも。
ルート上の危険箇所はなく、普通の体力があれば登れます。明暗が分かれるのは、高山病の症状が出るかどうか。私も八合目くらいからは酸素の薄さで吐き気を感じるなど、かなりきつい山行きとなりました。外国人の人たちや子供が特に苦しんでいたように見えました。
早朝に出発し、六合目から見た夜明けの空の美しさ。お鉢めぐりや宝永火口から感じる活火山のパワー。山頂では日本一高い場所に立ったという充実感。全てが特別な経験でした。
2021年8月に登りました。
富士山のルート詳細① スバルライン五合目から山頂
スバルライン五合目から八合目へ
吉田ルートの登山口であるスバルライン五合目には、前日に新宿からバスで移動しました。富士急の「雲上閣」というカプセルホテルに前泊。なかなか快適な宿でした。
夕食はスバルライン五合目の「キッチンみはらし」で噴火カレーを食べました。980円というリーズナブルさ。名前がすごいです。キッチンみはらしにはその他にも美味しそうなメニューやスイーツがあっておすすめです。
営業時間には注意してください。私が行った時は6時半ラストオーダーでした(山で6時半ラストオーダーって逆にありえない感じですが)
スバルライン五合目では、管理センターの方々が外に出ていて登山者をケアしていました。午後7時になっても入山していく人が結構いて心配されていました。あまり地元の方々に迷惑をかけて欲しくないですが自分も振り返って気を引き締めたいです。
ここで富士山の協力金1000円を払います。あくまで「協力」なのが日本的で優しい。強制でもいいのにと思いました。
翌朝は3時ごろ起床し、外へ出たのが3時半。まだ真っ暗なので準備運動をしたりしているうちに、東の空がしらみ始めてきました。藍色とオレンジのグラデーションに言葉もありません。ヘッドライトをつけて出発。今日は最高の天気となりそうです!
出発前に指導センターのスタッフの方が出てこられてコロナの質問を受けました。早朝から頭が下がります。
登山口から最初は石畳の道が続きます。よく整備されていて暗くても問題ないものの、この日はアブの大群のような羽音がすごかった。姿は見えないのですがちょっと怖くて急ぎ足になりました。十分見えるのでヘッドランプは外して進みます。
すぐに木の標識がある分岐に出ますが、富士山登山は右です。左へ行くと下山してしまいます。登山口から六号目までは美しい夜明けの空を見ながら歩ける道で、見とれてなかなか足が進みません。眼下に河口湖や山中湖が見えて神々しい美しさ。
六合目の富士山安全登山センターに着くと、ここでも職員の方が出ていてコロナ関連の質問を受けます。私の前を歩いていた男性が「ペースが早すぎますよ」とアドバイスされていたので、もしかすると五号目の指導センターと連携しているのかもしれないですね。
六合目でちょうど日の出を迎えました。山頂ではないけど十分きれい。東側の空が遮るものなくどこまでも開けていて、ゆっくりと太陽が顔を出し・・・本当に厳かな気持ちになりました。
六合目から登山道は南西に折れ、いよいよ本格的な登りが始まりました。最初は土のつづら折れです。樹木もなく、のっぺりした道が続きます。先が見えますがものすごく遠く感じました。
七合目からは山小屋がたくさん現れます。トイレも借りられます(200円)。試しに中を一つのぞいてみましたがとてもきれいでした。
七合目を過ぎると次第に溶岩の道に変わります。触ると痛いくらいざらざらしているので、気をつけてください。
吉田ルートは七合目・八号目に山小屋が軒を連ねていて、ベンチでちょこちょこ休めるので助かりました。休憩していたら他の方々がなにか見ているので聞いてみると、スカイツリーが見えると教えてくださいました。雲海の中の「とげ」のように小さく小さくスカイツリーが見えました。
八合目から山頂、お鉢廻り
八合目までは順調に進んでこれましたが、本八号目から九合目(3380m以上)はかなり苦しくなりました。10mくらい進んでは息を整えて休まないと続きません。
まわりでも、顔面蒼白で降りてくる人、岩の上で伸びている人、座り込んでいる人、皆さん苦しそう。富士山の登頂率が70%くらいというのは本当らしいと考えつつ、私も気持ち悪いので亀の歩みです。限界を超える無理はしないほうが良さそうです(苦しみの形跡がありました・・・)。
酸素缶は持っていなかったし周りでも使っている人はあまりいませんでした。
午前9時、ようやく久須志神社に着きました。五合目を出てから4時間の道のり、最後の1時間は気持ち悪さとの戦いでした。あと少しなので、一気に最高峰の剣ヶ峰を目指し、お鉢廻りに入ります。
下山が御殿場ルートなので、反時計回りで剣ヶ峰を目指すことにしました。反時計回りだと剣ヶ峰直下の急登を下るのがやっかいなため、できれば時計回りするほうがいいです。
お鉢は想像していたより小さかったです。ここから大噴火が起きたなんて信じられない感じ。溶岩だらけの道を、一段高いところに見えている剣ヶ峰、つまり富士山の山頂へ向かってのろのろ歩いていきました。
山頂はあっけに取られるほどそっけないです(笑)。休憩するような場所もないし記念撮影にも背景がいまいちです。
富士山のルート詳細② 山頂からプリンスルートで富士宮口へ
山頂から御殿場ルートへ
富士山を登頂できた嬉しさに浸りつつ、下山を開始しました。まず剣ヶ峰から御殿場ルートの下山口を目指しますが、剣ヶ峰からの下りはものすごい激坂で滑りやすいです。だからお鉢回りは時計回りにしてこの坂を登っていく人が多いんですね。ちなみに私以外は誰もここを下っていませんでした。
富士宮ルートの下山口である浅間大社の奥宮に着いたのは10時半。簡単にお参りしました。近くの小屋にはカップラーメン的な物しかなかったので、下山したら念願の富士宮焼きそばを食べることにして先へ進みました。
御殿場ルートの下山口はすぐ見つかりました。最初は土と岩まじりの急なつづら折りが続きます。頭上をみると今にも岩が飛んできそうなので、ここでヘルメットを装着しました。吉田ルートとは違い、御殿場ルートは登りと下りは同じ道になるので譲り合いながら下山します。もう11時なのに登ってくる人たちがたくさんいました。
私が登った後、宝永火口で落石がありました。かなり土が緩いので石が簡単に落ちてきそうで、ヘルメットはかぶるほうがいいと思います。
御殿場ルートはあまり小屋もなく、見渡す限りの土と岩。とても富士山らしい景色だと感じました。途中、七号五勺のわらじ館さんでスイカを売っていて迷わず立ち寄りました。外の席が一人用の特等席風にしつらえてあって楽しかったです。
下山にプリンスルートを選んだ理由は、宝永火口を歩いてみたいから。御殿場ルートは分岐が多数あるので、間違って御殿場口へ下山してしまわないよう注意する必要があります。
基本的に右寄りのルートを歩き「大砂走り」方面へ進みます。そして「走り六合」というポイントで宝永山へ進みます。見落として登り返したくないので慎重に探しました。
御殿場の下りルートは「大砂走り」として有名ですが、本当に雪のようにふわふわして面白いように進めます。ただしスパッツは必須!ストックもあると楽ですね。
御殿場ルート六合目から宝永火口、富士宮口へ下山
だんだんと宝永山が近くに見えてきました。走り六合の分岐を宝永山方面へ進むと、「宝永山馬の背」というポイントに出ます。ここから宝永山へ登っていけますし、火口へ下っていくこともできます。富士宮ルートに出るには火口の中を通っていくことになります。少し疲れを感じ始めていたのでそのまま火口へ下りていくことにしました。
火口の中では、砂に足を取られる上に傾斜がきつい。ここの登りは相当ハードなはずですが、登りの人の方が多かったです。火口壁ではなく火口の中をダイレクトに通れるルートは、日本では今はここだけではないでしょうか?暑い中もがいて来た甲斐がありました。素晴らしい風景。
火口を降り切ったところにある溶岩広場のような場所では、ベンチなどがあって休憩できます。宝永火口の歴史を説明する看板もあって面白いです。
ここから富士宮口へはあと少し。少し登り返しますが宝永遊歩道を通って富士宮六合目へ出る方が早く富士宮口まで戻れます。富士宮ルート六合目の雲海荘さんに立ち寄り、念願の富士宮焼きそばを頂きました。
富士宮口からバスと電車で東京へ帰りました。富士宮口もさすが2番目に登山者が多い登山口とあって、バスの便は良い方だと思います。待ち受けタクシーも数台いたのでバスを逃した時のリカバリーもなんとかなりそうです(ただし最寄りの駅は遠いのでタクシー代はかさみそう)。
1日で富士山の魅力をぎゅっと詰め込んだ計画でしたが、本当に来て良かったと思いました。登山自体は正直辛さが勝りますが、富士山からの圧倒的な高度感と遮るもののない景色、江戸時代の大噴火を生に感じる宝永火口、砂走りの爽快感は辛さを吹き飛ばすに足りました。富士山、近いうちにまた違うルートを登りたいです。
アクセスとデータ
アクセス | ◯ | 東京から電車・バスでのアクセスは容易 私は新宿から京王バスで吉田口へ。所要時間2時間半、Web予約で2650円 帰りは富士宮口から富士急シティバスで三島駅へ ※三島駅へは夏休み期間中のみ。その他の期間は富士急バスで新富士駅・富士宮駅となる |
難易度 | △ | コース自体の難易度は高くないが、落石の可能性(特に御殿場ルートへの下山時) 八合目から先は酸素が薄くなる。高山病の症状が出る人も |
トイレ | ◯ | 吉田ルートにある山小屋では200円で利用可能 山頂付近の浅間大社奥宮近くの富士山公衆トイレは300円 御殿場ルートから宝永火口には山小屋が少ない |
富士宮口からはバスの便は良いですが、三島駅まで行けることは知りませんでした。違うバス会社が運行していてサイトでは見つけにくいので、リンクを貼っておきました。
前泊した雲上閣の宿泊レポートはこちらをどうぞ↓
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