こんにちは、くっかばらです。このブログでは、自分の経験からおすすめの山などを紹介しています。今回は、上信越の白毛門(しらがもん)です。

積雪期の白毛門の難易度は?
白毛門は谷川連峰の一角をなす標高1720mの山。変わった山名は、ジジ岩・ババ岩というふたつの岩が門のように見えることに由来します。見どころは、一ノ倉沢など谷川岳東面の岩壁の眺望です。

「谷川岳の展望台」と呼ばれます。
登るのは結構ハードです。登山口から山頂までの3kmで標高差1100mを稼がなければならず、山頂まで急登が延々と続きます。積雪期には山頂直下の急な雪面歩きがあり、さらに難易度があがります。
雪山初級者の私にとっては行けるかどうかの判断がつきかねていて、とりあえず8合目の松ノ木沢ノ頭(1484m)まで登って様子を見ることに。実際、この日登った方の半分くらいはここから引き返していました。
迷いましたが勇気を出して登り、結果的に山頂に立てました。山頂からの眺めは、もう素晴らしいの一言。
しかし雪の白毛門は、「行きはよいよい、帰りはこわい」山でした。山頂からの急な雪面、ただでさえ苦労するのに、雪がゆるくなっていてアイゼンの効きがいまいちなのです。正直、今までの下山で一番怖かった。無事に登頂し帰ってこれたのはラッキーだっただけと思います。

私のこれまでの雪山歴は、天狗岳西尾根、硫黄岳、谷川岳(天神尾根)、武尊山など。ご参考になれば・・・。
私にとってワンランク上の雪山登山だった白毛門。何らかのご参考になれば嬉しいです。
白毛門のルート
登山口の土合橋から往復するのが普通です。谷川馬蹄形縦走の場合は、行きか帰りで通過することになります。

馬蹄形は憧れのクラシックルート。スタートは白毛門から回るか西黒尾根からか。両方登ってみて、どっちも辛すぎと思いました笑。
コースタイムは往復約6時間。距離が往復6kmしかないことを考えると、いかに急登かがわかります。
白毛門の登山レポート
土合駅から松ノ木沢ノ頭へ

越後湯沢駅から上越線に乗り継ぎ、土合駅へ。この駅は下り線が地下にある「もぐら駅」として有名ですね。時間があったら見に行きたかったけど、すでに8:30を回っているので先を急ぎます。

改札外にきれいなトイレあり。暖房便座です!
登山口の土合橋まで、10分ほど車道を歩きます。土合山の家を過ぎ、マックス土合ベースの横から入って行きます。この奥は駐車場ですが、一面雪で車は停まっていませんでした。

駐車場でテント泊している人が数組いました。

駐車場を横切ると、沢を渡る橋に出ます。この手前でアイゼンを装着して色々準備しました。

この橋へ降りるのが結構大変で・・・。垂直の雪の壁になっていて、しくじったら沢へどぼんです。

無事橋を渡り向こう岸へ。ここからは右手に回り込み、樹林帯の雪面を登っていきます。雪はかなりゆるく、つぼ足でもよかったかもしれないと思いました。

道はところどころ土や葉が露出していて、春の訪れが近いことを感じます。完全に夏道になっている所もありました。この後しばらく、夏道と雪が交互に現れます。雪のところも、かなり融雪していて踏み抜きがすごい。


最初からかなりの急登が続き苦しい・・・2時間近く登って、ようやく稜線が見えてきました。遠くに目指す白毛門の姿も。

ここからは雪庇ゾーンになります。東側に張り出した雪庇を避けなるべく樹林帯に寄って歩きます。とはいえ、樹林帯側も急な斜面になっているので寄りすぎても危ないです。

雪庇ゾーンを抜けると、心臓破りの急登が始まりました。樹々に残る綿あめのような雪と、抜けるような青空を見ながらがんばります。

斜面を登りきったら、8合目の松ノ木沢ノ頭に着きました。平たくなったところが山頂ですが、近くなったような、まだまだあるような。

松ノ木沢ノ頭の付近に、夏は鎖場の岩場があります。トレースは岩を斜面側に巻くようについていたのですが、融雪が進んでいて怖く、鎖場に乗り上げて岩の上を歩きました。

11:40、松ノ木沢ノ頭を過ぎたところでランチ。土合駅から3時間かかりました。

ふつうは登りのほうが時間がかかりますよね。今回は、下りにもっと時間がかかってしまいました。この時はまだ知らず、順調順調と思っていました。
この先はどうしようか・・・お昼を食べながら、剣呑な斜面を見上げます。男性がふたり、山頂付近からゆっくりゆっくり降りてきているのが見えました。ものすごく慎重な足取り。不安がよぎりますが、お昼を食べて元気になったので、勇気が出てきました。
山頂へ

ピッケルを出し、いよいよ登っていきます。ふたつの黒い岩がパンダの耳みたい。登りはこんなこと考えてる余裕がありました。
斜度はきつく、特にトップの部分は相当な傾斜です。でも登りは怖くもなく普通に歩けました。

トップに出ると、次の岩場がありました。あの向こうが山頂です。

ここは鎖場になっていて、岩と雪のミックスをアイゼンで歩いていきます。

岩場を登り終えると平たくなりました。山頂へのビクトリーロード!(向こうから出てきて、手前が山頂です)


松ノ木沢ノ頭から1時間、13:00前に山頂に着きました。先行の男性3人が下山していったら、もう誰もいません。
谷川岳の展望台の名に恥じない、壮大な眺めです。北側の笠ヶ岳・朝日岳は真っ白で神々しく、西側の谷川岳東面岩壁群は筋骨隆々、東側に目をやれば去年・一昨年と登った武尊山の剣ヶ峰がちょこん。


勇気を出して本当によかったと思えた、大パノラマでした。
下山
山頂から同じ岩場を降り、雪の急斜面を下り始めます。登っている時に、下山が怖そうだなと思ってはいましたが、実際上から眺めると緊張する傾斜です。

ゆっくりゆっくり、一歩ずつ下りていきます。クライムダウン体勢をとったら滑りかけたので、斜め歩きで。雪がゆるゆるになっていてアイゼンの効きが悪く、かなり苦労して下りました。
ランチをとった場所まで下りてきたらもう安心。怖かったです・・・。

松ノ木沢ノ頭に14:30。コースタイムを大幅に超え、山頂からたっぷり1時間以上かかりました。
ここからはひたすら下ります。こんなに登ったのかと思うくらい長く辛い下りでした。最初に渡った橋に戻ったのは16:00。何とか帰りの16時台のバスに間に合ったものの、逃すことを覚悟して歩いていました。
今回ラッキーにも山頂にたてたのですが、反省点がたくさんありました。一番は、午後になると雪がさらにゆるくなるので、前泊して早朝出立するべきだったこと。
雪山初級者の私を強引にレベルアップさせてくれた白毛門。厳しくも良い山でした。
アクセスとデータ
アクセス | ◯ | 上毛高原駅から関越バス、土合橋バス停下車 越後湯沢駅から上越線で土合駅、土合橋まで徒歩10分 例:東京6:44→越後湯沢8:14→土合8:39着 |
難易度 | × | 急登が続く 山頂直下の雪の急斜面、下山は特に怖い |
トイレ | × | 土合駅(改札外)にあり(暖房便座) ルート中にはなし |
装備 | G5 Evo 12本爪アイゼン ピッケル(松ノ木沢ノ頭から上で使用) ダブルストック ハードシェル(使わず) | |
データ | 総距離:6.8km 行動時間:6h30m 累積標高:(上)1066m(下)1053m |
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