こんにちは、くっかばらです。このブログでは、自分の経験からおすすめの山などを紹介しています。今回は、奥秩父の雲取山です。

東京で1泊2日登山したいなら雲取山?日帰りもできそうだけど。
東京で山中1泊の登山がしたい場合選択肢は少なく、雲取山のほぼ一択。通年の営業小屋があるからです。雲取山荘、七ツ石小屋、三条ノ湯の3軒があり、各小屋にテントサイトもあります。

奥多摩の山中には各所に避難小屋がありますが緊急避難用が前提です。その他、宿坊や川沿いのキャンプ場もあります。
雲取山は2017m、東京都の最高峰で唯一の百名山です。もともと人気の山でしたが、最近は「鬼滅の刃」の聖地として注目されています。
今回初めて登るまで、雲取山は私の中で「近くて遠い山」でした。できれば日帰りがしたいものの、鴨沢からのコースタイムは9時間、累積標高は上下とも2200m。体力的に自信がつくまで後回しにしていました。

私の最高記録は富士山前泊日帰りで、上り1800m下り2400m、計9時間。相当疲れました。
今回、気候の良い5月にテント泊で登ってみて確信しました。夜景や日の出を楽しめるし、山荘の施設は快適だし、雲取山で1泊はかなりおすすめ。本格シーズン前に、山中泊の体験をするにもちょうど良いです。
山歴があり健脚で、早朝スタートが可能な人には日帰り圏です。一方、累積標高が2000m近いコースを少し速めのペースで8時間程度歩くのが難しいなら、日帰りはしないほうがいいと個人的には思います。

実際、滑落・遭難事例は鴨沢ルートの日帰り登山中が多いです。
東京で1泊登山するならおすすめの雲取山。ご参考になれば嬉しいです。
雲取山のルート
今回のルートは、三峯神社からスタートして鴨沢へ下山する縦走プラン。三峯神社から登る人は現在は少なく、金曜日なこともあり、静かな歩きが楽しめました。

三峰口への夜行電車や三峯神社のロープウェイがあった頃には、賑わっていたそうです。
下山は鴨沢へ。鴨沢ルートは最もポピュラーなルートで、日帰りの方は大抵、鴨沢からの往復です。小袖から七ツ石小屋まで急斜面の細いトラバースが続くので、下山が夕暮れになる行程は避けるべきでしょう。
雲取山への登山ルートはこの他にも、奥多摩駅から六ツ石山・鷹巣山を経由するルート、山梨県側の三条ノ湯を経由するルート、東日原から登るルートなどがあります。荒廃していたり通行止めだったりする箇所があるので事前確認を念入りに。
雲取山の登山レポート
三峯神社からお清平へ
西武秩父駅発9:10の三峯神社行きバスに乗ります。8:59着の特急ラビューを降りて、急いで来たのにすでにこの列!平日金曜日です。


何とか最後の座席に滑り込めました。確実に座るなら、一本前のラビューか鈍行利用が安心です。
約1時間半バスに揺られ、三峯神社に到着。大きな駐車場にはきれいな水洗トイレがあります。ビジターセンター横を通って登山開始。先を急ぐので三峯神社観光は次回にとっておきます。

白い大きな鳥居をくぐっていきます。三峯神社の奥宮がある妙法ヶ岳への分岐がありますが、今日は寄らずに先へ進むと、すぐに炭焼平というポイントに出ました。昔はここで白炭をつくっていたらしいです。

11:00、ベンチがあったので、早めのランチにしました。今日は家から握ってきた鮭とねぎのお握りと、皮ごと食べられるぶどう。

じっとしていると小さな虫が大量に寄ってきます。虫除けスプレーを持っててよかった。
ランチを終えて歩き出すと、すぐに地蔵峠というポイントに出ました。階段を上がっていきます。

地蔵峠の向こうは、新緑や馬酔木が美しい道でした。傾斜もまだきつくなく快適な歩き。


すぐに霧藻ヶ峰というピークに出ます。秩父宮様ご夫妻のレリーフがありました。付近には立派なご休憩所が。山中にはめずらしく公衆トイレまでありました。



このトイレ、十分きれいです。和式・ペーパーなし

霧藻ヶ峰から山腹の道を行くと、お清平というポイントへ。三峰ルートはポイントが多くて休憩しやすいです。


お清平から雲取山荘へ(泊)
お清平から先は、登山道が本気モードに。傾斜はきつくなり、アップダウンを繰り返していきます。テント泊装備の重みを感じつつゆっくりと。


5月の雲取山全体に言えることですが、ミツバツツジが満開で、斜面に群生している様が素晴らしかったです。


三峰ルートには危険箇所はないものの、1ヶ所だけ注意すべきところがありました。前白岩の肩の手前、登山道に岩が露出していて、左側は急斜面です。土が乗っていて滑りやすく、雨天時なんかは特に注意です。


このあたりで距離がまだ半分。前白岩山、白岩山へと進みます。



白岩山の手前に白岩小屋跡がありました。表はきれいですが、裏は完全に崩壊していて、雨露をしのぐにもためらわれる廃屋ぶり。


白岩小屋跡の側に、奥秩父の山並みに向かって開けた素敵なベンチがありました。



三峰ルートにはベンチがたくさんあって休憩に困りません。
座ってコーヒーを沸かし、おやつを食べていたら、朝から付かず離れずで来た外国女性2人組がこちらに来たそうに見ています。声をかけて(英語で声かけたら日本語うまかった笑)、早々に出発することにしました。
白岩山への登りはきつく、わっせわっせ登っていきます。次は芋ノ木ドッケ、「ドッケ」とは尖ったところという意味です。でもここは正式な山頂ではないんですよね。雲取山への道は巻くようについているので、素直に標識に従って進んでいきます。


芋ノ木ドッケからは下り基調です。急斜面の手すりや階段がありがたい。


今日の行程で最後のポイント、大ダワに着きました。「タワ」とはへこんでいる所という意味。峠や鞍部にあたります。奥多摩には耳慣れない山の地名がよくあります。

大ダワから雲取山荘へはルートがふたつ。正面の斜面を登っていくか、東側へ巻いていくかです。テント泊装備もあるし迷わず巻道を選択しました。平坦で楽でした。

15:30、雲取山荘に到着!この日は天気があまり良くなくて夕焼けも夜景も望み薄。山頂へは明日行くことにして、テントでゆっくり過ごしました。
雲取山荘でのテント泊レポートはこちら↓

雲取山荘から雲取山へ
翌朝は良い天気です!テントを撤収し出発。時刻は6:30前、昼前の下山を目指しますが、土曜日だし鴨沢からの人で混みそう。




雲取山荘のトイレは水洗でとてもきれいです。外トイレですが、靴を脱いで使用します。
雲取山荘の前の階段を上がって、山頂への道を登っていきます。苔がきれい。雲取山荘から雲取山までの間は苔の原生林の雰囲気です。




6:50、雲取山に到着!登山を始めて9年目、体力をつけてからと思って後回しにしていたけど、やっとこれました。


山頂は広く、座って休憩できる岩があります。早朝なのにすでに結構人がいました。
人が待っていたのでぱっと撮影してしまいましたが、もっと右側から撮れば富士山も入ります。
登頂の喜びに浸ったあと、下山開始。山頂直下には雲取山避難小屋があって、ここからも富士山の大展望が楽しめます。






避難小屋の中はとてもきれい!新しいトイレが外にあります。和式ペーパーなし。
そして雲取山と言えばこの景色ではないでしょうか?小雲取山へ続く稜線。


雲取山から七ツ石山へ
雲取山からは、防火帯の幅が広く歩きやすい尾根道が続きます。すれ違いもノーストレス。
栂なのかモミなのか、針葉樹が美しい道です。


小雲取山は富田新道の分岐のあたりだと思うのですが、山頂標識が見つけられませんでした。鴨沢へは石尾根縦走路方面へ。


雲取山から七ツ石山までは、ルート中で一番華やかな道でした。まず、ミツバツツジやその他のお花がきれい。




それから、遠くに目をやれば奥秩父の山々を従えた富士山。眼下には石尾根縦走路が伸びています。




このあたりから、有名なダンシングツリーを探し始めました。似たような木が結構あり惑わされましたが、ありました!わかりやすい形状をしています。




鴨沢から登ってきた人は、左側にあります。似せたポーズで写真を撮るのが定番です。
東日原への分岐に出ると(この道は現在通行禁止)、七ツ石山へ登る道と鴨沢へ下る巻道が選べます。初めてきたので七ツ石山へも寄ってみることにしました。


七ツ石山への登りは、なかなかの急登。


上からラブラドールが降りてきます。フレンドリーな飼い主さんと一緒に道を譲ってくれました。振り返ると、軽快に降りていくラブ君。四輪駆動+ビブラム(肉球)は強い!


七ツ石山へ登ってきたのは、雲取山の全貌をみたかったのもあります。避難小屋までくっきり見えました。




鴨沢へ下山
時刻は8:40、名残惜しいけど下山を開始。楽しい道はここまでで、この後は眺望もなく延々続く下りでした。
七ツ石山直下にある七ツ石神社には、平将門迷走エピソードが。ルート中あちこちにあり、エピソードをつい読み込んでしまいます。


急斜面を降りていきます。ざれているので滑りやすいです。


水が盛大に染み出した道を降りていくと、水場があります。滑りそうなので慎重に。木の階段は巻道からの合流で、鴨沢へは写真の下へ向かって進んでいきます。


9:00、七ツ石小屋につきました。飲み物なんかを売っています。トイレもあります。




七ツ石小屋は素泊まり小屋です。
七ツ石小屋直下は、おそらくルート中で最も危険。急なことに加えて細くざれているので、滑落の危険を感じました。下は急斜面です。




登ってくる人は苦悶の表情。歩荷の方もいました(七ツ石小屋のご主人かも)。
急斜面の道は終わり、堂所というポイントに出ました。


ここから最後まで、左側が急斜面の細いトラバース道が続きます。天気の良い5月の土曜日、ひっきりなしに登りの人とのすれ違いが発生。山側に思いっきり体を寄せて待ちます。すれ違いのスモールトークを楽しみつつ、テント泊装備も重いしで、ペースはあがりません。




日帰りの下山が遅くなって、ここをヘッデンで通過するのは嫌です・・・。
鴨沢ルート全般に言えることですが、七ツ石小屋を除いてベンチがほとんどなく、休憩は適当に。迷走ルートの「茶煮場」は広場のようになっているので、休憩によいです。




堂所から20分くらいのところにあります。
同じような道を1時間ほど歩き、11:00に小袖に出ました。休憩を入れて4時間半、装備の重さとすれ違いの多さからして、もっと時間がかかるかと思いました。


車道を歩くと村営駐車場に出ました。バスの人は車道を外れて再び山道へ。鴨沢バス停への近道です。


20分も歩けば集落に出て、鴨沢バス停です。お腹がすいていて「ラーメン」ののぼりしか目に入らない笑。


時刻は11:25、鴨沢からの次のバスは1時間後なので、留浦(とずら)バス停まで歩いて、11:40のバスに乗ることにしました。


留浦バス停は鴨沢から徒歩10分、別路線のバスが来るので臨機応変に使うと便利です。
奥多摩駅近くで食べ物を買い込み、Gotta Coffeeのアイスコーヒーで乾杯。「雲取ブレンド」も買ったので、今日の感動を後日味わおうと思います。
やっと行けた雲取山。1泊2日にしたからこそ、豪快な縦走と素晴らしい眺望をゆっくり楽しめました。
アクセスとデータ
アクセス | ◯ | 登山口:三峯神社 西武秩父駅(5番乗り場)から西武バス「三峯神社」行き 平日は9:10、土日は8:00が始発(950円) 下山口:鴨沢 西東京バス「鴨沢」バス停から奥多摩駅行き(740円) ※徒歩10分の「留浦」バス停まで行くと便数が増えます |
難易度 | ◯ | ルート中に危険箇所は少ないが、鴨沢ルートの七ツ石小屋から 下は急斜面についた細い道のトラバース 過去に事故もある箇所なので特に下山時に注意 ※日帰りの場合は難易度△です |
トイレ | ◯ | 三峯神社、秩父宮ご夫妻レリーフの近く、雲取山荘、雲取山避難小屋、 七ツ石小屋、小袖駐車場、留浦バス停 |
装備 | テント泊装備(ツェルトはなし) 虫除けスプレー(役立ちました) | |
データ | 【1日目】 総距離:8.8km 行動時間:4h20m 累積標高:(上)1378m(下)588m 【2日目】 総距離:12km 行動時間:4h50m 累積標高:(上)565m(下)1879m | |
その他 | ルート中、携帯の電波は入りません(ドコモ) |
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