北アルプス

残雪期のパノラマ銀座縦走2泊3日②【↑合戦尾根↓長塀尾根】

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北アルプス

こんにちは、くっかばらです。このブログでは、自分の経験からおすすめの山などを紹介しています。今回は、残雪期のパノラマ銀座縦走、後半です。

パノラマ銀座縦走前半のレポートからの続きです。

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パノラマ銀座のルート詳細(後半)

大天井岳から常念岳へ

大天荘まで雪原を下り、常念岳へ向かいます。横引きの縦走路で、この先は余裕なのではと思い始めていました。東天井岳の横を通過。山頂へも行けますが、疲れ始めていたのでやめました。この時点で14:00。

東天井岳からはいったん大きく東へ進路を変えます。この部分が雪渓になっていて、南側が谷。もし滑ったら・・・。この時はピッケルを持ってくれば良かったと思いました。

振り返って、大天井岳と大天荘。雪原を降りてきました
横引きの快適な縦走路、行手には常念岳
東天井岳の南側を巻いて降りていくところ。雪渓で南側はきつい斜面、滑落注意です
東天井岳を下りきったところから振り返って。左上の雪渓を横に歩き、ハイマツ帯を下りてきました

次は横通岳へ縦走して行きます。ここも横引きの快適な道。山頂には寄らずに、西側を巻いて行きます。行手には乗鞍岳や御嶽まで見え始め、振り返ればもう燕岳や鹿島槍・白馬は見えなくなっていました。北アルプスの山々が次々に現れるのがパノラマ銀座の醍醐味ですね。

長い縦走の後、ようやく常念小屋が見えてきました!ほっとしたのも束の間、横通岳から常念小屋への下りに入るとここが長くて辛かった・・・。樹林帯なのですが、雪道でルートは不明瞭。所々ピンクテープはありますが、ルートファインディングしながら進みます。ゆうに30分は樹林帯の中を下り続け、16:00、常念小屋に到着しました。

横通岳直下から、常念小屋が見えました!手前の樹林帯で苦しみました
樹林帯の中はこんな
このルートを見つけるのに苦労しました

常念小屋にチェックインし、17:00の夕食後に夕日を見に出ました。小屋の正面に槍ヶ岳が望めました。翌朝は雲海がとてもきれいでした。槍ヶ岳のモルゲンロートは雲が厚いせいか見られませんでした。

槍ヶ岳へ夕日が沈む
早朝、きれいな雲海が出ました

常念小屋のレポートはこちらをどうぞ↓

常念小屋に宿泊
北アルプスの常念小屋に宿泊しました。残雪期パノラマ銀座の縦走にはなくてはならない重要な小屋です。小屋内は清潔でお水やお茶はフリーで頂ける親切さ。食事も美味しいです。朝、小屋前からきれいな雲海が望めたのが印象的でした。

縦走3日目。この日は長丁場になるので早出を心がけました。6:00過ぎに出発。まず常念岳へきつい登りです。早朝なので体を慣らすためゆっくり登って行きました。常念小屋に泊まっていた人たちはほとんどが一ノ沢への下山で、縦走組はほとんどいませんでした。

常念岳へ。縦走3日目の始まりはいきなりこの登り

雪は全くついておらず、ルートは明瞭です。1時間強、登り続けて常念岳の山頂に到着しました。北アルプスの大展望が広がります。この景色を見すぎて、当たり前になってきています・・・。遠く富士山も見えました。山頂直下は岩場になっていてかなり狭いです。撮影だけしてすぐに下山しました。

常念岳の山頂が見えてきました
常念岳山頂。後には槍穂高の絶景
歩いてきた道。奥の燕岳から左の大天井岳、直下は常念小屋
これから行く道。あとで苦労した蝶槍への雪の登りがここから見えています

常念岳から蝶槍へ

常念岳からは、ごろごろした岩の道を急降下します。西側にはハイマツ帯が広がっていて、グェグェ声が聞こえてきました。ライチョウがいる?!と身構えた時、ハイマツ帯からオスのライチョウが私の頭のすぐ上を飛んで、近くの岩で見張りを始めました。

雷鳥が飛んできて近くの岩に
すぐにハイマツへ帰って行きました(雪の上を歩いています)
常念岳からの下り
下りてきた後で見上げた。岩の道を激下りです

最低鞍部へ急降下する途中で、これから向かう蝶槍が見えてきました(とがったピーク)。まず樹林帯に入ります。ここは完全に雪ですがアイゼンなしで歩いてしまいました。ここから蝶槍まではずっと雪だったので、この樹林帯からアイゼンをつけてもよかったと後で思いました。

樹林帯を抜けると下の写真のように雪の斜面を上って行きます。大きく2本登ります。アイゼンがなかったら私はここは無理。つぼ足で歩いているトレイルランナーさんがいて驚きました。

まず樹林帯に入ります
樹林帯を出て斜面を登って行きます
1本目を登り切ったところ。後は常念岳

1本目を登った後、ルートが不明瞭になりました。樹林帯の中への道のトレースがなく、東側の谷へ大きく迂回するトレースがついています。迷いましたが、トレースを辿ることにしました。写真ではうまく出ていないですが、左側(東側)へ滑ったら止まれないところピッケルを持っていないことを強く後悔したところです。後で見たら、樹林帯へのトレースも続いていたので、樹林帯を行けば安全だったと反省しました。

後の人はクライムダウン体勢をとっています
渡り終わってみると、樹林帯へのトレースもあった・・・

1本目を終えて、2本目に入ります。同じような傾斜のきつい雪の斜面を登って行きます。下の写真でわかるように、蝶槍の直下は夏道になっています。なので手前でアイゼンを外す方が良いです。私はそのまま登ってしまい、途中で外す羽目になりアイゼンが泥でぐちゃぐちゃになってしまいました。グリベルのエアーテックがドロドロになり、テンションが激落ち。そもそも道具が汚れるのは当然なのに、受け入れられない小ささ・・・。

蝶槍への2本目の斜面。こちらも急登できつい

蝶槍についたのは11:30過ぎ。常念小屋を出てから5時間以上かかりました。長くて辛かった道ですがライチョウに救われました。

蝶槍を振り返って

蝶槍から蝶ヶ岳、長塀尾根で下山

蝶槍を過ぎると、縦走路はなだらかになりました。私の好きなゆるい縦走路にテンションアップ!槍穂高の眺望に加えて乗鞍や御嶽も近づいてきて、縦走3日目で一番楽しかったのはここでした。

蝶槍から蝶ヶ岳へ。なだらかな縦走路

横尾分岐をすぎ、蝶ヶ岳ヒュッテに着いたのは正午過ぎ。ヒュッテでランチを頂きました。中に入って食べることができます。メニューはカレー、おでん、角煮丼の3つ。同行者はカレー(1000円)、私はおでん(800円)にしました。この時点で相当疲れていたので沁みました・・・。ゼリー飲料や小物入れなどいろいろ買い物もできました。

蝶ヶ岳ヒュッテ。有名なビールの自販機が
ランチ(カメラの首紐が入ってしまいました)

この先も長いので食べたらすぐに出発。まず蝶ヶ岳の山頂に寄ります。なぜか蝶ヶ岳の山頂はあまり感動できませんでした。なだらかで平たい山頂でした。大きなカラスがいて怖かった・・・。印象としてはヒュッテ手前の山域図があるところの方が山頂ぽい感じがしました。

蝶ヶ岳の山頂
蝶ヶ岳山頂からヒュッテとテント場

そして縦走中で一番辛かった、長塀尾根(ながかべおね)での下山です。3時間くらいの樹林帯の下りなのですが、縦走の最後で疲れているせいか、それとも半分以上雪と泥のミックスで歩きにくかったせいか、思い出したくないくらい辛く感じました。徳沢まであと◯kmと標識があるのですが、全然実感と合っていない感じで、まさか直線距離?と訝しんだり。

蝶ヶ岳直下は夏道ですが、すぐに雪道になります。ここでアイゼンを装着しました。

蝶ヶ岳の直下、アイゼンをつけたところ

すぐに「妖精の池」と呼ばれる池に出ました。とてもクリアなブルーで、八幡平のドラゴンアイを思い出します。

妖精の池

徳沢まで3km地点までは完全に雪道でしたが、2km付近では雪が溶け出していました。ここでアイゼンを外しましたが、徳沢まで1kmの地点までは泥と雪と木の根でとても足元が悪く、ペースが上がりません。徳沢まで1kmの標識からは完全に夏道となったのですが、ここからは木の梯子がたくさん出てきて、梯子って下りの方が大変です。いえ、整備頂いていて文句は言えないのですが・・・。

やっとのことで16:00過ぎ、徳沢に到着!同行者の希望で徳沢で1泊したので、今回の縦走はここで終わり。もし上高地まで行くなら徳沢から1時間半かかります。松本行きの最終バスが17:30なので、急いで行けば間に合うと思いますし、その計画なら常念小屋をもっと早出すると安心です。

パノラマ銀座縦走、完歩できました!噂通りダイナミックな眺望を楽しめる最高の縦走路でした。登山を始めた頃の自分を考えると、残雪期の北アルプスを歩けるようになるとは感慨深いです。ま、北アルプスの中でも簡単な方で上には上があるのですが・・・。ライチョウもたくさん見れたし、天気も良くて大成功でした。

徳沢ロッジの宿泊レポートはこちらをどうぞ↓

徳沢ロッジに宿泊
ゴールデンウィークに徳沢ロッジに宿泊しました。一応山小屋の仕様ながら、ホテルの部屋のような個室、入浴施設、食事のおいしさなど評判がとても良い人気の宿です。近くの徳澤園も評判が良いですが、私は徳沢ロッジの暖炉と広いラウンジが気に入っています。

アクセスとデータ

アクセス毎日アルペン号で中房温泉へ直行
穂高駅からバスも運行されている
帰りは上高地から松本へバス
新宿行きバスも運行されているが午後の時間のみ
難易度技術的な難易度は高くない
冬期の大天井岳は直登ルートとなり、雪がついていればピッケル必須
蝶槍までの傾斜のきつい雪道ではアイゼン必須
トイレ縦走中の小屋で利用可能だが、次の小屋まで5・6時間かかる
データ総距離:32.8km 行動時間:24h30m
累積標高:(上)2766m(下)2778m
装備12本爪ワンタッチアイゼン
ストック
色々な山レポでピッケルは使わなかったとあり、ピッケルは持たず
ピッケルなしで少し怖かったのは2箇所(雪面のトラバース)
雪道の箇所合戦尾根・第三ベンチから燕山荘直下まで(アイゼン装着)
大下りの頭からの下り
切通岩通過後から槍・常念・燕分岐まで
大天井岳から大天荘まで
東天井岳からの下り
横通岳から常念小屋への樹林帯の下り
2592ピークへ向かう登りと蝶槍へ向かう登り(アイゼン装着)
長塀尾根2000mの平まで(アイゼン装着)

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No Mountain, No Life.

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