こんにちは、くっかばらです。このブログでは、自分の経験からおすすめの山などを紹介しています。今回は、パノラマ銀座の縦走です。
パノラマ銀座の難易度は?残雪期にピッケルは必要?
パノラマ銀座とは、北アルプスの燕岳・大天井岳・常念岳・蝶ヶ岳を結ぶ縦走路です。その名の通り、北アルプスの大パノラマが楽しめることで人気です。
パノラマ銀座の難易度は、「長野県山のグレーディング」によれば技術的難易度B、体力度7。体力度は縦走路の半分に対してなので、オールで歩く場合には体力度はもっと上がります。
難易度が上がるのは、残雪期の大天井岳の直登。夏はトラバース道があるのですが冬は滑落の恐れが高いので直登しかできません。この直登は斜度がきつく、雪が積もっていればピッケルが必須です。今年は雪が少なくほぼ雪はありませんでしたが、それでも砂と岩のざれた道でかなり登りにくかったです。
2022年、ゴールデンウィークに縦走しました。
もうひとつは、燕岳から大天井岳の間にある蛙岩(「げーろいわ」と読みます)。夏道は岩を巻けるのですが、冬の間は蛙岩の中を潜って行きます。これが結構苦労しました。
体力はかなり必要だと思います。合戦尾根は北アルプス3大急登。稜線に出た後も、大天井岳・常念岳・蝶槍と3000mに近い山々を登り下りして行きます。極め付けは下山の長塀(ながかべ)尾根。樹林帯の中を急激に高度を落としていくのですが、距離も長くとてもつらかったです。
スタミナだけが強みの私ですがめちゃくちゃ疲れました。特に3日目はトラウマです・笑。
事前リサーチでは雪が少ないことが分かっていて、ピッケルは使わずというレポートを見ていたので、ピッケルは持っていきませんでした。12本爪ワンタッチアイゼンとストックで縦走しました。縦走中、ピッケルを持っていた方が良かったと思った箇所は2日目に1箇所、3日目に1箇所ありました。いずれも雪面の急斜面をトラバースしていくところで、普通に歩いていけば大丈夫ですがもし滑ったらと思うと怖かったです。やはり使わなくても雪山装備は全部持っていくべきだと反省しました。
色々ありましたが、北アルプスのオールスターが揃い踏みの本当に素晴らしい縦走路でした。北から白馬岳・鹿島槍ヶ岳・剱岳・立山・黒部源流の山々・槍穂高・乗鞍・御嶽を全部見ながら歩ける道なんてここ以外にないでしょう。岩場もないに等しいので、北アルプスの縦走路の中ではリラックスして歩けます。天気が荒れなければ残雪期でも難しくないので、おすすめです。
パノラマ銀座のルート詳細(前半)
東京から中房温泉へ
毎日あるぺん号で中房温泉へ直接向かいました。23:00発、到着は5:30ごろでした。
毎日あるぺん号の受付は出発15分前から始まります。ロビーにはトイレがあります。座席はバス側が決めているので、早く行かなくても大丈夫。
この便は中房温泉まで山道を上るため、中型のバスになります。1列は2×2で8列ほどありました。バスが小さいと酔うかもと心配だったのですが全然大丈夫でした。座席は結構快適で、3〜4時間は眠れたので良かったです。
途中2回SAで休憩があります。この日は、1回目は談合坂、2回目は諏訪湖でした。談合坂は深夜でもフードコートや売店が営業していて驚きました。諏訪湖の方はトイレ・自販機だけです。
中房温泉へはくねくねの山道を1時間ほど。東京から中房温泉まで直接行けるのは、とても楽でした。
1年ぶりの中房温泉に到着!トイレ・洗面台があるので身繕いして、朝ごはんを食べて、出発です。
中房温泉から合戦尾根で燕岳へ
登山口付近は完全に夏道。第二ベンチ付近から雪が出てきましたがまだノーアイゼンで歩けます。夏だとぐいぐい登っていける道でしたが、雪のため相当歩きにくい箇所もありました。
どこでアイゼンを着けるか迷っていましたが、第三ベンチで下山してきた人達がアイゼンを外していたので、ここで装着することにしました。この先もところどころ夏道が露出して雪と泥混じりだったので、富士見ベンチで着けても良かったかも。
富士見ベンチを過ぎると、明日から歩く山々が見えてきてテンションが上がります。ゴールデンウィーク後半の天気予報は好転していて、この日は快晴。夏にこの道を歩いたときは暑くて辛かったのですが、快適な気候のせいか割と楽に合戦小屋に着きました。
合戦小屋では飲み物やカップラーメンを販売していました。有名なスイカはまだないです。テーブルとベンチがたくさんあるので、休憩にもってこい。ホットコーヒー(500円)を購入、ドリップコーヒーでとても美味しかったです。
合戦小屋の手ぬぐいも売っていました。私は前回購入済み。1300円と少しお高いですがかわいいので愛用中です。
合戦小屋のあとはパノラマ銀座や燕岳を見ながら歩けるので、楽しい道になります。槍ヶ岳も大きく見えて来て、うきうき歩いて行きました。
最後にきつい登りがありますが、燕山荘のケーキセットなどを思い浮かべて耐えます。燕山荘へは、冬は南側からアプローチするようになっていました。夏は東側から登ります。小屋への最後の登り部分は完全に夏道になっていますが、アイゼンはつけたままで行きました。
登山口から休憩含めて5時間かけ、1年ぶりの燕山荘に到着!快適な気候でペースもおさえたので楽しく登ってこれました。早速チェックインして、まずはランチ。カレーライス(1000円)やうどん(800円)など基本的なメニューですが美味しかったです。
午後からは空身で燕岳へ。雪は残っているけどアイゼンなしで行けます。
北燕岳に行く人は軽アイゼンがある方が安心かも。山頂直下の雪渓が少し怖いらしいです(同行者談)。
有名なイルカ岩は燕山荘近く、メガネ岩は燕岳近くにあります。特にメガネ岩は見落としがちですね。
山頂からは、鹿島槍ヶ岳・白馬岳・剱岳・立山・黒部源流の山々・槍ヶ岳がぐるりと見渡せます。素晴らしい眺め。たまたま山頂に人があまりいなくて、しばらく座って眺めていました。ちなみに燕岳の山頂は狭めで、何か飲んだり食べたりするのは厳しいです。
今回の縦走で一番余裕があったのはこの日。燕岳から帰ってきた後は、16:40の夕ご飯まで小屋まわりでのんびり過ごしました。山に上がっている時は飲酒しない私ですが、心の余裕があったし景色も最高で、生ビールを頂きました(1000円)。幸せすぎる!この余裕が2日目・3日目には全く無くなるとはまだ知らず(笑)。
燕山荘は相変わらず快適な山小屋。部屋のプライバシーもばっちりで、ぐっすり眠ることができました。燕山荘のレポートはこちらをどうぞ↓
燕山荘から大天井岳へ
縦走2日目。朝4時に起き出して朝日に備えました。残念ながら槍ヶ岳のモルゲンロートは見られず。でも東の空から登る朝日と徐々にオレンジに染ってゆく空が感動のきれいさでした。
朝日を待っている時、ライチョウが近くのハイマツからとととっと歩いてきて、テント場の中をうろうろしていました。一瞬のことで撮影できなかったのですが、とてもかわいらしかったです。燕山荘の階段を下ったところにあるハイマツに住んでいるようです。
5:00の朝食を食べ、ゆっくり支度。2日目は余裕だと思っていたし、常念小屋にあまり早くついてもな・・・と、燕山荘でコーヒーを飲んだりしてのんびり。出発したのは7:40をまわっていました。
燕山荘のホットコーヒーはドリップ仕立てでおいしいです(500円)。
2日目の登山道は雪まじりのところもあり、雪渓もあったのですが、結局ノーアイゼンで歩ききってしまいました。
槍ヶ岳を見ながらの快適な縦走路が伸びています。しばらくすると、蛙(げーろ)岩が見えてきました。
蛙岩は、夏は東側から巻いていけるのですが、冬は岩の中を潜ることになっています。「冬ルート」と標識がある所から潜って行きます。私が行った時はもうかなり雪が少なくなっていて、潜るルートは下がスカスカ。落ちたら抜け出ることは難しそうで恐怖でした。雪が詰まっている時は狭いだけで怖いルートではありません。
抜け出た後で夏道の方をのぞいてみたら、何とか歩けそうだったので拍子抜けしました。後で常念小屋で会った方は夏道を歩いたとのことで、私はここで無駄に肝を冷やしてしまったようです。毎年どなたかが雪を掘ってルートを作ってくれているようなので、ありがたいことなのですが・・・。
出発から1時間半、大下りの頭に着きました。標準コースタイムは1時間なのでかなりゆっくりのペース。夏に蛙岩と大下りの頭の間でライチョウを見たので、探しながら歩いていたのでした。雪の上に足跡がたくさんあったのですが、姿を見ることはできませんでした。
大下りの頭からはどんどん下っていきますが、この部分は雪道でした。アイゼンなしで行けましたが、谷側にあまり寄らないように歩きます。下りが終わって夏道に戻るところが少し不明瞭で少しうろうろ。ハイマツが倒された跡があるのでそこから入っていきました。
夏道に復帰して、大天井岳へ向けてほぼ水平な縦走路を進みます。振り返ると、燕岳・燕山荘から続く縦走路。もうこんなに遠くに来ました。が、今日の行程の半分に達していません。
このあたりですれ違った方が、その先にライチョウのつがいがいると教えてくれました。もうちょっと待ってて!と願いながら進みます。すると、岩の上になわばりを見張るオスが!
この時期にライチョウを見つけるには、オスの鳴き声が目安になります。なわばりを見張っているので「グェグェ」とよく鳴いています。しばらく見ていたら、つがい達は、仲良くハイマツの中へ消えて行きました。
時刻は11時過ぎ。大天井岳の直登の前にランチにしました。今日は尾西の山菜ご飯。このあたりは岩がたくさんあるので休憩場所にことかきません。
いよいよ大天井岳へ。まず切通岩をトラバースで渡って梯子を下ります。すぐにまた梯子を登ると、表銀座とパノラマ銀座の分岐に出ます。
切通岩の小林喜作レリーフを見逃してしまいました・・・。
直登ルートはほぼ雪が溶けていて、ざらざらの砂の傾斜のきつい道になっていました。かなり歩きにくく苦労して登って行きました。ルートも所々不明瞭で、ひやっとするところもありました。もしここが全て雪だったらピッケルは絶対必要だし、ちょっと怖いと思います。
分岐から40分ほど必死で歩き、大天井岳の山頂に着きました!なぜか上空を燕がたくさん舞っていました。ものすごい速さで飛んでいてぶつかってきそうなくらいでした。
山頂で30分くらい眺めを楽しんだあと、13:00、大天荘へ向けて下山。一面の雪原を降りてゆきました。
大天荘は冬期は営業していませんが、冬期小屋が解放されています。
続きは、パノラマ銀座縦走レポート後半へ。
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